2016-02-17 卸し 運ぶものは食用肉で豚半頭、牛の片脚などどっしりと重たいもの。それを毎日午後一時ころから四時半までの三時間半、六ヵ所の病院に卸しに行くのである。19歳のひょろっとしたわたしは、担ぐと腰が砕けそうになった。トラックの入らない細い道を一〇メートルほど上っていかなければならないときは、奥歯を噛み砕きそうになるくらい踏ん張った。真っ白なユニフォームは、またたくまに肉の塊によって血だらけになってしまう。そのときのわたしは、それまでの自分がいかに甘チャンであったかを思い知ったのだ。