卸し


運ぶものは食用肉で豚半頭、牛の片脚などどっしりと重たいもの。
それを毎日午後一時ころから四時半までの三時間半、
六ヵ所の病院に卸しに行くのである。
19歳のひょろっとしたわたしは、担ぐと腰が砕けそうになった。
トラックの入らない細い道を一〇メートルほど上っていかなければならないときは、
奥歯を噛み砕きそうになるくらい踏ん張った。
真っ白なユニフォームは、またたくまに肉の塊によって血だらけになってしまう。
そのときのわたしは、それまでの自分がいかに甘チャンであったかを思い知ったのだ。